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幸町の家

外を内包する建築

鳥取駅や鳥取市役所,大型商業施設が建ち並ぶ,中心市街地に敷地は位置する.
敷地は元々,駐車場として使われ,古くからある家々やビルが密集する市街地の中で開かれた場所である.
今回の計画に際し,周辺環境に適度の距離を保ちながら,外部に対して閉じながら開く建築となることを主題とした.

建築は,間口を5.46m,奥行を13.65mの黒いガルバリウム鋼板からなる長方形の箱とし,その中に居住スペースとガレージや庭,デッキテラスとした外部空間を挿入する構成とした.
箱の中に差し込んだ白の外部空間は,屋根や壁で取り囲みながら,開口部により適度に切り取ることで,周辺からの視線を遮り,プライバシーを確保した.
外でありながら内のようなこの半外部空間は,外と内の境を曖昧にし,光や風が通り抜ける心地よい場となる.

住空間は可能な限り仕切りを無くし,ワンルールのような空間とした.
その中にオープンな階段や様々な開口部を配置することで,閉塞感や行き止まり感を消し去り,空間を連続的に繋げている.

内外を繋ぐ開口部は,各場所に応じてその大きさを変えることで,外部との繋がり方に変化を与え,切り取られる風景が多様なものとなる.
開口部から入り込む風や音の気配は,季節の移ろいを感じ,生活の各シーンに彩りを与える.

街や周辺環境との関係,自然環境の取り込み方から発想したこの建築は,外部空間を内包することで,適度な距離感を持って街に開き,この場での豊かな住まい方が実現したと考える.

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